学会資料

介護者の地域ストレス軽減から夫婦生活の再構築へ

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1.はじめに

 地域での問題行動や自宅での夜間不穏により、介護者が不安を感じていたが、身体不調の改善、本人の社会交流を通し、夫婦生活を取り戻すことができたケースを経験したので若干の考察を加え報告する。

2.事例紹介

・男性
・72歳
・要介護度1
・障害高齢者の日常自立度:自立
・認知症高齢者の日常自立度:Ⅲa
・既往歴:喉頭癌 ・ 胃癌(初期で内視鏡で切除) ・ 難聴 ・ 喘息 ・ アルツハイマー型認知症→ピック病

S市に5人兄弟の3番目として生まれ、婿養子となる。長女・長男は独立し、夫婦二人暮らし。関東と地元を行き来し土木関係の仕事をしていた。

平成25年頃から、物忘れが出現。平成26年12月に人身事故を起こしたことで仕事を退職。それをきっかけに受診、アルツハイマー型認知症と診断される。その後地域での問題行動や行方不明になることがあり今後の生活に不安を感じ4月より週3回デイサービス(以下DS)利用開始となる。

3.ケアプラン

夜間不穏だったことから脱水を原因とする身体不調型と捉えた。問題行動は、まわりが抑制したときに起こることから抑制による葛藤型と脱水による意識レベル低下を原因とし、脱水の改善を目標に水分1500㏄以上、食事1500kcal、活動量向上に向け、屋外歩行、PRに取り組むこととした。また、抑制による葛藤に対し、抑制しない姿勢で関わることとした。

4.ケア方法・展開

当DS利用前に他事業所で適応できなかったこともあり、半日からDS利用を開始した。

当初は迎えに行くと本人が不在で近くを捜したこともあったが半日利用が落ち着かれていたため、1週間後1日利用に変更となった。また地域では不法投棄、収集癖、物損、徘徊が指摘され介護者が不安を募らせ、本人に対し抑制になるような言葉をかけていた。その後行方不明時に協力をお願いするため3月末に個別地域ケア会議が開催され地域から理解を得る事ができた。利用時自分の物と他人の物の区別がつかず手当たり次第飲んでしまったり、声かけにも無表情だった。また午後一人で窓から外へ出ようとしたりPRも集中出来ず目が離せない状態だった。

1ヶ月後、自宅で畑をしていたことから畑や花壇を一緒に行うと意欲的で、手入れをする様子を介護者に伝えると役に立てたことに喜んでいた。

3ヶ月後、ピック病と診断され再アセスメントを行い行動について再認識できケアマネジャーからは地域や家族に症状や行動の説明があった。

6ヶ月後、喘息発作や嘔吐など一時的な体調不良がみられたが、水分量が安定し午後一人で出ることはなくなった。近くの工事が気になり見に行く様子があったが抑制しない姿勢で関わっていった。

8ヶ月後、夜間不穏が消失し同時に地域での問題もなくなり安心して過ごせるようになった。現在は車椅子を押してくれるなど日課や行事に参加し一緒に楽しまれる姿がみられ、DSで落ち着いて過ごせるようになった。

5.結果

介護者の地域ストレス軽減から夫婦生活の再構築へ

介護者の地域ストレス軽減から夫婦生活の再構築へ

飲む習慣がなかったが、利用時は1500㏄以上水分量増加により脱水が改善され夜間不穏が消失した。また活動性が上がりそれに伴い意識レベルが上がり、認識・理解・判断ができるようになったことで問題行動が消失した。

6.考察・まとめ

竹内は、家庭生活という狭い世界では本人の行動への制約や叱責・非難が一層孤独にし異常行動の発現を促進するが同年代の人々の集まりがもつ共感的雰囲気、DS職員の受容的態度は異常行動へのすぐれた治療薬であると述べている。また活動量が向上し水分量が増えたことにより脱水が改善し夜間不穏、身体不調が改善された。そして役割を通し本人の意欲に繋がり社会関係において、その人らしい位置と価値を見い出すことができた。また地域からの苦情がなくなったことで介護者のストレスが軽減された。今では玄関先で送迎を楽しみにしている姿や以前のような優しい夫の笑顔にホッとするとの声が聞かれ、今後の夫婦生活を再構築できたと考える。

 

発表者:小寺 ゆかり(介護員)
    佐藤 智恵美(生活相談員)