学会資料

胃瘻を撤廃し自立とQOLの向上へ【We’ll try to abolish gastric fistula for patients,And help them to self-support and improve the quality of life】

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1.はじめに

今回普段の体調を整えながら、通所によるADLや活動性へのアプローチにより胃瘻が撤廃されQOL向上に繋がったケースを経験したので若干の考察を加え報告する。

2.事例紹介

・男性
・63歳
・要介護度5→3
・病名:くも膜下出血 右延髄外側梗塞 肺炎後廃用症候群

平成23年12月にくも膜下出血発症。それにより気切、胃瘻造設となり右半身麻痺、失調、拘縮、注意障害、嚥下障害、構音障害の後遺症も出現。平成24年2月よりリハビリHPに転院。同年12月退院となる。退院後リハビリ継続希望により通所介護事業所を探すも気切、胃瘻管理等の負担を理由に受け入れを断られ、平成24年12月より当デイサービス(以下DS)利用開始となる。

3.ケアプラン

食事は嚥下障害の為、胃瘻と経口で総水分:2000CC/日,総カロリー:2000kcal/日 摂取前に気切から痰の除去後、30°左下側臥位で150CCのゼリーと粥を交互に食べるという医師の指示であった。歩行はウォーカー(見守り)とT字杖での介助歩行で右半身に痺れあり。行動全般にふらつき見られ、見守り,介助が必要な状態である。

以上のことから、気切、胃瘻管理とふだんの体調管理、特に水分、栄養の維持、増加とパーワーリハビリ(以下PR)と歩行訓練による歩行の安定と自立・重度化予防とした。また、生活全般に見守り介助が必要で動作別、時間帯別介護負担もあり、介護負担の軽減と最終的に胃瘻撤廃と以前の生活に戻すことを目標に、家族,他事業所,HPと連携をとっていくようにした。

4.ケア方法・展開

6ヶ月後:当初の粥が柔らかご飯となる。摂取時に口腔体操、発声練習も取り入れ、嚥下訓練も兼ね良く噛んで飲み込む練習を心掛けた。7ヶ月目に気切抜去となる。歩行が安定してきた為T字杖2本での歩行も勧めた。この頃より花見,外出等に参加され、ご飯以外の物が食べたい、焼き鳥屋に行きたいと前向きな言葉が聞かれた。

1年後:自宅で妻との散歩が日課となる。訪看との情報交換の中、胃瘻が減り左下側臥位での食事開始。経口水分はむせにて量が伸び悩んだが、水分の重要性を説明し出し続けた。また、会社の同期会に参加される。

1年6ヶ月後:DSではPR・歩行訓練・階段昇降・散歩、訪看は計算ドリル・音読等のリハビリを頑張られ、座位でのソフト食開始となる。自宅で3ヶ月試し、食品の制限なく完全な座位での常食となる。経口水分は200CCを30分かけて摂れるようになり、寒天との併用で水分量を増やし、さらに昼食時胃瘻から200CC注入するなどした。

2年後:食事姿勢,咀嚼,嚥下訓練,水分,栄養の確保に努めた事や、PR,散歩,外出等も増え、介護度5から3へと改善された。胃瘻量減少後も、体重,BMIの減少は見られず、1年11ヶ月目に胃瘻中止となり、2ヶ月後胃瘻抜去となる。生活全般で見守り必要だった頃に比べ、動作も安定し、胃瘻もなくなり、妻の自由時間も増えていった。

5.結果

胃瘻を撤廃し自立とQOLの向上

 

胃瘻を撤廃し自立とQOLの向上

水分・栄養の維持を継続的に努力した結果、脱水、肺炎等のリスクを防ぎ、気切、胃瘻の抜去に繋がった。また、継続したリハビリ、運動によりADLを含む全般的活動性の向上にも繋がった。

6.考察

竹内は、胃瘻の人は多くが低栄養と脱水になり、誤嚥性肺炎のリスクがある。水分不足は覚醒、口腔機能、むせの原因などにも関与する。また自立性やQOLは、生活のもつ「継続性」という側面に対応し、“家族の”自立性やQOLをも意味するものでなければならないとも述べている。今回、気切、胃瘻の抜去、ADLの向上が介護負担の軽減に繋がり、本人、家族のQOLの向上に繋がったと考える。現在、運転に向けて警察署、教習所等との連絡を取り進めている状況です。

 

動画はこちらdown.gif

2012.3.9歩行(病院) 2013.6.18階段(病院)

現在(DS)

 

発表者:本間 美智(看護師) ・ 小泉 利晴(機能訓練士)